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この世で一番好きなのは?

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 昨日の「子どもの日」の愛媛新聞一面「地軸」によれば、今年は双子の野ねずみの物語絵本「ぐりとぐら」生誕五十年になるそうだ。195刷のロングセラーは、世界9か国語に翻訳されているとか。
親子2代のファンも多いだろうと書かれていたが、私は子どもと孫の2代に読み聞かせている。

 大きなお鍋のふたを取ると、ふんわり黄色いカステラ。そのおいしそうなことといったら。
「この世で一番好きなのはお料理すること食べること、ぐりぐら、ぐりぐら、ぐーりぐら」
というこのフレーズは、何度読んだことだろう。でも何度読んでも飽きることがなかった。

 内容は、森で大きな卵を見つけたぐりとぐらが、大きすぎて持って帰れないので、家に戻り小麦粉やバターや砂糖をリュックに詰めて大きな鍋を転がしながら森に運んで、そこでカステラを焼いて、森のいろいろな動物たちを招待して一緒に仲良く食べるという単純なお話だ。でも皆がぐるりと輪になって、大きなカステラを仲良くおいしそうに楽しそうに食べているシーンは、ほのぼのとしたカステラの甘い香りが絵本から漂ってくるような気にさせられて、何とも言えない幸せな気分に包まれたものだ。

 この絵本がこんなにロングセラーで、世界的に読まれていることを知って、なるほどな~と納得するものがあった。「この世で一番好きなのはお料理すること、食べること」
このフレーズの明快さ、単純さが、あまりにまっとうであるため、子どもの心にストレートにしみこむのだろう。この明快さ、単純さは子ども時代だけのものだろうか?

 単純なことを単純にこの世で一番好き!と言えるのは、屈託のない環境がまわりにあるからだろう。アダルト・チルドレンが育つ環境のように、危険や緊張があったり、機能不全があったり、コントロールがあったりすると単純なことを単純に喜ぶことが難しくなってしまう。   
 
 大人になっても「この世で一番好きなのはお料理すること食べること」で良いのだと、ぐりとぐらを思い出しながら改めて思う。単純に楽しく生きていいのだと。
 
 焼きあがったカステラのなんという大きさ!ゾウ、クマ、ライオン、オオカミ、ワニ、シカ、リス、イノシシ、ウサギ、蛇、カメ、カニ、モグラ、ハリネズミ、フラミンゴ、小鳥、トカゲ、カエル、カタツムリ、森中の動物たちが集まっている。大きな動物は大きなカステラを、小さな動物は小さなカステラを食べている。皆ゆったり食べているのは、パイ、いやカステラの大きさが十分あって、全員がそれぞれおかわりもできることがわかっているからだろう。
 
 うがった見方をすれば、これは一つの理想郷をあらわしているのではないか。それぞれが必要に応じた糧を受け取れる社会の実現は、人類の理想だが、21世紀になっても、いまだまだ道遠しである。理想はますます遠のいているかに思える昨今のグローバル社会の過酷な現実がある。
 
 子どものころはこのシーンに共感した子どもたちが、大きくなって出会った社会が、あまりに違っているとしても、心のどこかにこのシーンが息づいていて、いつの日か、黒人も白人もアジア人もイスラム人もアラブ人もトルコ人も、民族や国の対立を超えて、皆で楽しく仲良く生きていく未来を志向してくれるのではないか…・
 
 
 ぐりとぐらの生誕50年を祝して、そんな遠大な夢を見てみた「子どもの日」であった。

 
 絵本の底力に期待したい。

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                                   (ふくら雀)







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by wcm050401 | 2013-05-07 00:57 | 本、映画、CD、マンガ

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