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「82年生まれ、キム・ジョン」

 10月から全国で公開されている韓国映画だ。原作は韓国だけではなく日本でもベストセラーになった同名の小説だそうだが、私はこんな小説が韓国でも日本でもベストセラーになっていることを知らなかった。内容は、夫や子どもと一見幸せそうな暮らしを営む現代女性たちが抱える生き難さ、厚い壁の中に押し込められた閉塞感だ。新聞の紹介記事を読んで、ぜひ見たいと思ったが、松山では上映は11月過ぎになると知って心待ちにしていた。

 先日、予定していた夜の会が中止になりぽっかり時間が空いたので、思い立って大街道のシネマサンシャインに行って見てきた。

 鬱々とした日々を送っているヒロインキム・ジヨンは再就職しようとするが、ベビーシッターが見つからず、焦る。妻の鬱状態に気づいている夫が、自らが育休を取って、妻の社会復帰を支えようとするが、育休を取れば一生出世街道から完全離脱させられる韓国の現実があり(日本も似たようなものだ)、姑の猛反対にあってとん挫する。

 普通の女性たちに当たり前に襲ってくる性被害の現実も描かれていて、女性たちの生き難さの根の深さを垣間見せてくれる。

ジヨンは夫から聞かされた自分の異変(時々、母や祖母に憑依された人格になる)を知り、カウンセリングに通いはじめる。そこで色々なことを言葉にして、気づきを得ていく。やがて若いころの希望であった、書くという自己表現を見出す。

というようなストリーだが、例えば彼女の母が優秀な成績でありながら早々と学校をやめ、働いて働いて兄や弟の学費を稼いで若き日々を費やしたエピソードなど、胸えぐられる話が満載だった。

 こういうシビアな現実そのものが描かれ、それがベストセラーになる時代なのだということに、しみじみと味わい深い思いを抱かざるをえないのは、私たちがもう古い世代なのだということかもしれない。 (2020.11.21 ふくら雀


by wcm050401 | 2020-11-22 00:41 | 本、映画、CD、マンガ

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